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研究の目的
膜脂質
葉緑体
光・酸素応答
植物ホルモン

研究の目的

私達の研究テーマは、葉緑体のバイオジェネシスです。
 地球上の物質生産に欠かせない植物を始めとした光合成生物が,光などの様々な環境因子によってどのように影響を受け,またその変化に適応するのか,それらの生物の形態形成との関係や環境適応の機構を明らかにすることは,我々人類にとって基礎・応用の両面から大きな課題です。
 私たちの研究室では,特にその中で植物の光合成の場である「葉緑体」の果たす役割,その環境に応答した形成の機構,さらにはその進化に着目し,研究を進めています。皆さんもご存知のように葉緑体は植物にとって光合成を行うための重要な細胞内小器官ですが,葉緑体は細胞の中に常に存在しているわけではなく,種子や暗所で発芽させた「もやし」の中には葉緑体はありません。種子が発芽する際,種子の中にある葉緑体の前駆体(色素体の一種)から,光シグナルの作用により葉緑体が形成され,光合成に必要なクロロフィル等の物質が蓄積し,緑化が起こります。この葉緑体の形成は,植物の緑化の際に細胞内で見られる最も大きな変化です。この葉緑体は,植物の祖先となった細胞が最初から持っていた細胞内器官ではなく,シアノバクテリア(別名ラン藻)のような光合成をする微生物が植物のもとになる細胞に「細胞内共生」することによって出来上がった器官だといわれています。このように葉緑体は,我々生命にとって最も重要な「酸素」を生み出す光合成を行う点でも,植物の進化を考える点でも,極めて重要で,かつ魅力にあふれた器官だといえるでしょう。
 私たちの研究室では,この葉緑体の機能,緑化などの際の形成の機構,その進化に着目しながら,植物や,その葉緑体のルーツとなる光合成微生物を研究材料として,以下の研究を進めています。

膜脂質

葉緑体を形作る膜は,我々の細胞を形作る膜と異なり,主に糖脂質でできています。またこの組成は,ラン藻の膜脂質組成と瓜二つです。私たちはこの糖脂質の合成酵素遺伝子を世界に先駆けて高等植物とラン藻からそれぞれ単離し,それらが全く異なる遺伝子であることを明らかにしました。これらの遺伝子を手がかりにして葉緑体の機能や進化に迫る研究を展開しています。
・葉緑体とラン藻の膜脂質組成は驚くほどよく似ており,ほとんどが糖脂質でできている。
・葉緑体での糖脂質合成経路
・糖脂質合成酵素の変異体は劣性致死になる(白い種子が1:3で出現)
ヘテロ変異体の種子
野生型の種子

葉緑体

先に紹介した膜脂質合成酵素変異体だけでなく,葉緑体の形成や分裂に異常を持つ種々の変異体を用いて葉緑体形成に関わる遺伝子の同定,機構の解明を進めています。
・子葉だけが白化する変異体 abc2。緑葉の葉緑体(左)と白い子葉の色素体(右)で、
 その内部構造が全く異なることが分かる。

光・酸素応答

ラン藻よりさらに遠い葉緑体の祖先の仲間と考えられている光合成細菌では,光や酸素濃度に依存して青色光がシグナルとして働き,色素等の蓄積を抑制します。その光の受容体について研究を進めています。
・ 光合成細菌の色素蓄積の光・酸素条件による制御(左図)。
この制御にはBLUFドメインを持つ青色光のレセプターが関与する(右図)。

植物ホルモン

葉緑体の膜脂質は情報の発信源でもあります。なかでも代表的な植物ホルモンのジャスモン酸が植物のオゾンストレス耐性に関わる仕組みを明らかにしました。
・植物ホルモンのジャスモン酸が合成できない変異体(左図)では、オゾンに対する抵抗性が弱くなる。

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